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松田社長に聞く“ルミナス・プロダクションズというスタジオへの期待と命題”
“おもしろく楽しいゲーム体験を届ける”ことを大事にして、ワールドワイドAAAの新規IPを

スクウェア・エニックス・グループのゲームスタジオ『ルミナス・プロダクションズ(Luminous Productions)』。2018年3月に発足し、2018年12月にはスタジオヘッドに荒牧岳志氏が就任。最先端のテクノロジーを強みとした次世代のゲーム開発に本格的に取り組んでいる。

スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役社長である松田洋祐に、ルミナス・プロダクションズ設立の経緯、期待と展望、また、松田氏が考えるゲーム開発の在りかた、ゲームスタジオがブランドとして個性を発揮することの重要性、エンタテインメントに対する根底にあるマインドを聞いた。
(インタビュアー・文 山村智美 / カメラ 小森大輔)

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松田社長

『ゲームスタジオがブランド力を持つことが重要な時代。ルミナス・プロダクションズが、スクウェア・エニックス・グループのゲームスタジオの中で、これまでにない新しい個性やカラーを獲得することに期待』

ゲームスタジオが強い個性を持ち、ブランド力を獲得していくことは、今後もゲームビジネスを続けていく上でとても重要なこと

ルミナス・プロダクションズが2018年3月に発足してから約1年半が経ちました。まずは改めて設立の経緯や意図をお聞かせください。

松田氏:スクウェア・エニックス・グループ全体として「我々のどこにバリューがあるのか?」ということを考えたときに、最高のエンタテインメントを提供する企業グループとして、そこはやはり“クリエイターの存在である”という考えと、また同時に、クリエイター達がいる“スタジオである”という結論になります。

今の時代は、この“スタジオの価値、ブランド、個性”というものが非常に重要です。特に、スタジオの個性をどれだけ伸ばしていけるのかということが大切だと考えています。グループのひとつであるスクウェア・エニックスという会社も言うなればひとつのゲームスタジオで、強力な個性を発揮しているわけですが、同じグループの中にあって、さらに違った個性が突出しているスタジオを持つ。それによってスクウェア・エニックス・グループ全体の価値が相乗効果によって高められていくと考えています。

ルミナス・プロダクションズは、『ファイナルファンタジーXV』の開発チームのメンバーをベースにして設立しました。スクウェア・エニックス・グループ内にあってまた違ったスタイルを持つ日本発のゲームスタジオであり、世界中からの期待に応えられるような最高品質のゲームを作っていくスタジオになってもらいたいと考えています。

ルミナス・プロダクションズのようにチームを独立させて開発スタジオを立ち上げたのは、スクウェア・エニックス・グループの中であまりないアプローチだと思います。別のスタジオを立ち上げるとどんな違いが出てくるのでしょうか?

松田氏:日本の会社ではグループの中にスタジオを設けているところは少ないのですが、海外ではグループ内にいろいろなスタジオがあるのが一般的で、スタジオという単位で確立されることによって、そのスタジオの個性やユニークさが際立ってきます。我々のグループ全体にとってもそれは非常に重要なことだと考えています。

松田社長

スクウェア・エニックスというスタジオの中にもいくつかの開発事業本部があり、それぞれが言わばひとつのスタジオであり強力な個性を持っているわけですが、また違った取り組みとしてルミナス・プロダクションズという明確なスタジオを作っていきたい。こういった取り組みは、スクウェア・エニックス・グループがこれからもゲームビジネスを続けていく上でも重要なことだと思いますね。

スクウェア・エニックス内の開発チームとは別に、ルミナス・プロダクションズというスタジオとして確立させることに大きな意味があり、それによって生まれるものに期待されているわけですね。

松田氏:そうです。スクウェア・エニックス・グループには、海外にも Crystal DynamicsやEidos-Montréalといった個性のあるスタジオがありますが、それらと同様に日本にもルミナス・プロダクションズを立ち上げたということになります。

ゲーム制作や業界の情勢は非常に多様化しています。ルミナス・プロダクションズにはどのような取り組みをしてもらいたいと考えているのでしょうか?

松田氏:“最先端のテクノロジーとアートの融合”です。
それも、スクウェア・エニックスとは違った意味での最先端の形を追い求めてもらいたいと考えています。スクウェア・エニックスも個性のあるゲームを作っていますし、これからも作っていきますが、それとは違う味、別のスタイルをどれだけ出せるか。そこに期待しています。

“最先端のテクノロジーとアートの融合”によって生み出すものは、どんなものになるのでしょう?

松田氏:それはやはり新しい“ゲーム体験”です。世界中のゲームファンの想像を超えるゲーム体験を作っていく。それがルミナス・プロダクションズのスタイルであり、個性となっていくことを期待しています。

IPの展開が非常に多彩な時代ですが、ルミナス・プロダクションズはゲームに特化するスタジオであるということですね。

松田氏:そうです。やはり“ゲームが主であるべき”と考えています。もちろん、その先の展開はいろいろあるかもしれませんが、まずコアな強みがどこにあるかと言えばゲーム開発です。そこに集中して取り組むべきだと考えています。

ルミナス・プロダクションズの命題は、“新規のIPを最新のテクノロジーで具現化する”こと

ルミナス・プロダクションズが取り組むプロダクト、IPはどのようなものになっているのでしょうか?そもそも「ファイナルファンタジーXV」の開発チームがベースであったことから、「ファイナルファンタジー」シリーズに連なるものなのかと想像されるところがあります。

松田氏:いいえ、“完全に新規のIP”ですね。
“新規のIPを最新のテクノロジーで具現化する”。これがルミナス・プロダクションズの大きな命題になります。

規模としては、やはりワールドワイドを視野にしたAAAクラスのタイトルとなりますか?

松田氏:そうなりますね。

完全に新規のIPを、最先端の技術を使い、AAAタイトルの規模で新しいスタジオで作っていく。ものすごくチャレンジングな取り組みだと感じます。

松田氏:そうですね。常に新しいチャレンジをしていくことが必要です。これは、ゲームビジネスでは常に目指していかなければいけないものです。スクウェア・エニックスも、グループ内の他のスタジオも同様にチャレンジしていきますが、ルミナス・プロダクションズには、また異なる個性とカラーを示してもらいたいのです。

松田社長

ワールドワイドな取り組みですが、そこに参加する人材についてはどのように考えられていますか?

松田氏:ルミナス・プロダクションズは「ファイナルファンタジーXV」の開発チームがベースにはなっていますが、新しい人もどんどん入ってきていますし、日本国内に留まらず海外からの採用も活発に行なっています。広く門戸を開いて、多様な人材と共にゲームを作っていくということを目指しています。

ゲーム開発の人材はとても流動的になっています。開発者の中には、日本のゲームスタジオでがんばりたい、特にチャレンジのできる場所でがんばりたいという人がたくさんいると思います。そういう意欲のある人にとって、ルミナス・プロダクションズが有力な選択肢となってくれることを期待したいですね。

クリエイターが最先端かつ新しいものに挑戦できるスタジオであるということですね。それだけのチャレンジをさせてもらえる場所は少ないと思えます。
一方で、巨大なAAAタイトルの制作に投資リスクなどの面から慎重になっている向きもあるとは思うのですが、“次世代に向けてのAAAタイトル”を制作することは、やはり重要であると考えられているのでしょうか。

松田氏:そうですね。当然、大きな投資ですが、やはり個性のあるコンテンツが生まれることが重要です。新しいスタジオでやる以上、新しい独自のカラーを発揮していかなければなりません。それが将来的に大きなリターンを生んでいくわけですから。ゲームビジネスは常に大きなリスクを伴いますが、リスクを取らないと大きな果実は得られません。

新規のIPを生んでいくことが、やはり重要であると。

松田氏:長く続くフランチャイズを維持・革新していくことは大変重要です。また、新しいものを作っていくということも重要です。これらを合わせることによって、グループ全体のポートフォリオを厚くするということに繋がっていきます。

ルミナス・プロダクションズが作る新規IPも、10年20年と愛されるようなIPとなってくれることを期待したいわけですね。

松田氏:そうですね。もちろん、それは簡単なことではなく大きな挑戦です。しかし、グループ全体としても常にそれを目指していたいですし、その中にルミナス・プロダクションズのような存在があることも大きな貢献になります。素晴らしいタイトルが生まれてくることを期待しています。

なにより大事なのは“ゲーム体験がおもしろい”こと。“おもしろいものを作りたいというマインド”が大切

ルミナス・プロダクションズは、グラフィックスやAI等の最先端のテクノロジーに取り組む存在としても分かりやすいです。技術への研究や投資、技術のある人材ということについてはどのように考えられていますでしょうか。

松田氏:ルミナス・プロダクションズにおいては、最先端テクノロジーへの積極的な取り組みをひとつの個性としてもらいたいと思います。デジタルエンタテインメントは技術に根ざしているものですし、ゲームを開発する上で常にキャッチアップしていかなければなりません。

私はゲームは総合エンタテインメントだと考えていて、技術をどのように使ってゲームで表現していくのか。ルミナス・プロダクションズならではの個性や味を出していってもらいたいところです。

R&D(研究開発)に取り組みつつも、ゲーム表現がやはり大事ということでしょうか。

松田氏:そうですね。単純にR&Dに取り組んでいるということではなく、プロダクトという形でゲーム体験に結びつけて欲しい。R&DのためのR&Dになってはいけないと思うのです。最終的なアウトプットがないとお客様には届かないですし、R&Dで得たものは、お客様が楽しんでもらうものへと繋がっていないといけません。

テクノロジーの進化によってゲーム体験がどう良くなるのか、変わるのか。はたまた革新的に違ったものになっていくのか。ルミナス・プロダクションズには、それを常に模索しつつも、なによりも重要な“ゲーム体験がおもしろい”という価値を追求していってもらいたいです。

ゲームとしておもしろいことに加えて、アウトプットすることを重要視していて、スピード感も大事にされているのが感じられます。

松田氏:アウトプットを重要視し、お客様の期待を越えるものを作っていかなければいけません。
いくら内部で構想を語ってもお客様には届かない。出来上がったゲームをお客様が遊んでおもしろいと思ってもらえるか、「今までに体験したことがない!素晴らしい!」と感じてもらえるかどうか。それがなによりも大事なことです。

その方針を開発にも反映されているのですね。

松田氏:そうですね。「いくら壮大な構想があっても、最終的なアウトプットしかお客様には関係がない」ということは繰り返し話しています。グループ全体にも、「お客様に届けられたアウトプットと、それに対しての評価がスタジオの全てだ」ということを伝えています。

ルミナス・プロダクションズに注目している開発者、人材に対してはいかがでしょうか?

松田氏:人材については、ルミナス・プロダクションズが、挑戦ができる環境であるということを知ってもらえればと思います。スタジオが目指しているものに共感していただけるのであれば、ぜひ参加してもらいたいですね。

良い作品をスピーディーに送り出す秘訣はあるのですか?

松田氏:それぞれのスタジオなりのやり方や最適な体制があると思います。“正解はこうだ”というのはなかなか難しくて、特に、個性のある作品を作ろうとすればするほど複雑で独特になっていき、没個性になればなるほどチーム組織が画一化すると思います。後者は効率は良いかもしれませんが、おもしろい作品が作れるかどうかは難しい。効率と個性のバランスが大事かと思いますね。

新しいことに取り組むという点では、ルミナス・プロダクションズに若い人材が参加して活躍されることを期待されているところもあるでしょうか?

松田氏:これから経験を積む人も、経験を積んできた人も、両方に期待しています。フレッシュな人材の意欲も大事ですし、ベテランの味も大事だと思います。そこはオープンに考えています。やはり一番大事なのは“おもしろいゲームを作りたいというマインド”ですから。

松田社長

松田洋祐(まつだようすけ):株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役社長。1963年生まれ。2001年に株式会社スクウェア・エニックス(旧株式会社スクウェア)に入社後、2013年より現職。

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