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アーティストインタビュー
Luminous Engineで描画されたリアルタイムレンダリングと2Dアート描写を融合させた新コンセプトアート

2020年4月にLuminous Productionsコーポレートサイトのアートをリニューアルいたしました。
今回のNews記事では、新規アートを手掛けたアートディレクターの本庄 崇さんの制作インタビューをご紹介いたします。

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左:Luminous Engineで描画されたリアルタイムレンダリングと2Dアートでの描写を融合させたコンセプトアート
右:ラフイメージアート

本庄 崇:アートディレクター

■「テックとアート」「静と動」が融合したスタジオコンセプトアート

―ゲーム開発スタジオとして、自社エンジンを使用したコンセプトアートを今回描いていただきましたが具体的に本庄さんの中でどういったコンセプトに基づいて制作を進めていただきましたでしょうか?

本庄:2Dで描画されたアートに対して光(=luminous)を与え、光で照らされた部分がLuminous Engineで描画されたリアルタイムレンダリングになるというコンセプトです。
そこから、2D部分を「静」、3D部分を「動」としてアートで表現したかったので、そこをどう表現するか、シーンやストーリーを自分の中で組み立ていき、今回のアートが完成しました。

―「テックとアート」の融合をどう表現するか、表現するためにどういったことにチャレンジしたか、お聞かせください。

本庄:大きく言うと、2Dと3D各々の描画の個性を生かしながら融合させひとつの絵にする事、がチャレンジでした。
どちらもただ綺麗に描いてしまうと本当に普通に融合しただけになってしまうんですよね。このふたつを混ぜながらも、各パートの個性を残せるのはどの様な表現か、と考える事が難題でした。

今回チーム内の各セクションに3DCGでのキャラクターと背景の制作、それにライティングをしてもらったんですが、各自完成したものを集約して、そこに対峙するアートはどんな方向性であれば各々の特性が出るか?アートとして融合しつつ、混ざらないものになるか?を色々試しながら実際描いたりして、めちゃくちゃトライ&エラーしました(笑)。

―実際何パターンも描いたりして、それでも最初はしっくりくるものがなかったということでしょうか?

本庄:そうですね、最初普通に描いたらふたつの要素が融合しすぎて、さっき言った通り、本当にただの綺麗なアートになってしまったんです。
エンジンでの描画と同じようにリアルな手法で描いてしまうとお互いのパートがひとつの絵として融合しすぎてしまい、コンセプトが伝わらない。それでアート部分の表現を色々試したんですが、どれも馴染みが悪くて…。
そこで、今回は線画を残しながら色を乗せていく、という割とコンセプトアート的には伝統的な手法でふたつの要素に差を出しながら融合させる事にしました。

一番昔からやっている伝統的な手法と、一番最先端の3DCG・レイトレースレンダリングの手法を組み合わせてあげるのが、新旧混ぜ合わせたお互いの画の良さ、特徴を同居できる表現なのかなと思いました。

ちなみに、線画部分に両側一筋の光を落としているのは、光の表現で一部塗りを薄くして、そこが線画ベースで描かれている、という事を強調するための手法です。

■舞台裏から表舞台へシーンをうつした”BackStage”の主人公

融合する前のモデルデータ

―中心の女性は、CEDEC2019でスタジオが発表した”BackStage”の女性モデルを使用されていますが彼女の衣装や髪形を変えて、今回のアートに登場した理由はどういったものなのでしょうか?

本庄:”BackStage”では、役者の舞台裏を描いており、ステージに上がるまで支度を整える所を描いています。
そこからのつながりとして、今回はその役者をステージに上げて裏舞台から表舞台へ、というストーリーをイメージしました。

2Dと3Dの融合を考えたときに、このキャラクターの生きる世界というのはこの光の中に存在している、というイメージが浮かんで…
もう一個絵の中に別の世界があるというか、生きている世界の躍動・生命感とかがこの光の中で生まれていて、その中に彼女が生きている世界がある、とか(笑)。

全て線画ベースのアートでこのキャラクターも描いたとしたら、それは僕の生み出した、ただのデザイン画でしかないですが、そこに光を当てると実際にその世界の中に彼女が息づく、そんなイメージでこのアートを作りました。

■アーティストの「仕事」

―まさにファンタジーな作品ですね。アーティストの方は、みなさんそういったテーマを持たせたり、ストーリーを作り上げていくことが出来るのでしょうか?

本庄:それが仕事だと思います(笑)。
アートチームはまだプラン初期段階では情報量の少ない状態で依頼が来る事も多いので、どれだけそこから広げられるかは普段から鍛えられている部分だと思いますし、そこが楽しめると、アートの仕事も更にやりがいが増すのではないでしょうか。

■小規模開発の良さもありながら大規模開発にたずさわれるスタジオって面白い

―今回キャラクターはキャラモデラーやプログラマー、背景アセットはエンバイロメントアーティスト、そしてアートの本庄さんで進められたかと思います。
こういった各セクションのチームでひとつのものを完成させていく過程で良かった点や、気を付けた点はありますか?

本庄:今回は通常のワークフローベースで制作を始めたわけではなく、まず最初にコンセプトをチームに提示しゴールを共有して、その後各々制作を進めてもらい、それを集約してアートとして完成させるやり方でした。

今回のコンセプトアートの初期ラフ画

本庄:割と簡単なラフとコンセプト共有からだったのですが、それに対しみんなで意見を出し合ったりして最初の共有が上手くいったので、各々の完成品がブレずに出来上がってきてよかったですね。
みんなコンセプトを理解しそれを実現するスキルが高かったので、安心して任せることができました。

―ワークフローベースの仕事もあれば、今回のようなコンセプトスタートの仕事もあるのですね。Luminous Productionsにはどちらにも柔軟に対応できるスキルや環境があるのでしょうか?

本庄:そうですね、あると思います。
例えば、ゲーム開発においても、プリプロ初期段階はワークフローやセクションを飛び越えたところで、セッションに近い形で成果物を作ったり、そこに柔軟に対応できるスタッフが揃っていると思っています。

―プリプロダクションの段階では、アーティストやプランナー、プログラマー等セクション関係なく意見を出し合える環境なのでしょうか?

本庄:意見を出すことに関してはあまりセクションは関係ないですね。
誰でも意見を出せる環境ですし、そういうやり方だからこそ 自分の担当分野で何ができるか考えて、最終的に各担当の意見を合体できる。そのスピード感が強いかなとも思います。

昔のゲーム制作みたいに、最低限自分の持ち場はあるけど、ゲーム作りって部分では自分の担当以外でもゲーム全体に関わっていく、そんな小規模開発のようなスタイルで AAA クラスの大規模開発に携われるこのスタジオは面白いなと思います。

■アートの中に計算された、フックとなる「違和感」

―最後に、今回の作品を見ていただいた方に一言お願いします。

本庄:テックとアートの融合という表現をするにあたり、そこにわざと違和感を作り、綺麗に絵として馴染み過ぎないようにしています。

綺麗に仕上げすぎると目が留まらず見過ごしてしまう、目に留まるそのフックの部分は違和感かなと。
その違和感を持って、不思議な絵と感じていただけたら嬉しいです。

リアルでもなく、ただの絵でもなく、不思議な絵として完成されたコンセプトアート
2Dアーティストが描いた絵が3Dと融合したことによる違和感を感じていただけたらと思います。

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