NEWS

CEDEC2021講演者インタビュー特集「NVIDIA Omniverseを利用したルミナス・エンジンのリモート開発環境」について

Facebook Share Twiiter Share Linkedin Share Reddit Share Tumblr Share

2021年8月にオンラインで開催された「CEDEC2021」(コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2021)のセッションに、Luminous Productionsのメンバーが登壇いたしました。
講演では伝えきれなかったエピソードを、エンジニアの想いと共にご紹介いたします。

■「NVIDIA Omniverseを利用したルミナス・エンジンのリモート開発環境」の講演者
CEDEC2021_SpeakersInterview02.jpg


―まずは、今回の講演について簡単に概要をご説明いただけますでしょうか。

小野氏:今回の講演は、Luminous Productionsで自社開発しているルミナス・エンジンにNVIDIA Omniverse(以下、Omniverse)を導入し、ルミナス・エンジンが得意とする大規模ゲーム開発を、どのようにリモート環境下で行えるようにしたかを説明させていただきました。前半はNVIDIA合同会社のブライアン・ドゥダーシュさんにOmniverseについてご紹介いただき、後半で我々が組み込み事例を紹介するという二部構成で講演を行いました。

―今回のテーマに取り組むことになったきっかけや経緯を伺えますでしょうか?

小野氏:感染症流行によりリモート開発の需要が急激に高まったのは、このテーマに取り組むきっかけの1つであることは間違いありません。ただ、元々Luminous Productionsは多様な働き方を認め合い、その中でそれぞれ最大限のフォーマンスを発揮しよう、というのが会社の命題の1つでもあったため、いかに大規模開発を多様な環境下で推進していくかというのは、兼ねてからの課題でもありました。そのような時に、NVIDIAさんと話す中で、Omniverseをルミナス・エンジンでも上手に利用できれば社内の開発環境改善に繋がるのではないかと考え、今回のテーマに取り組むことにしました。

― 今回の取り組み以前は、ルミナス・エンジンのリモート対応はどういう状況だったのでしょうか?

小野氏:通常は自宅のPC上で作業しますが、通信速度やSSDの容量などの問題があるので、社内にもPCを用意してリモートデスクトップ接続できるようにして、これらを併用して開発できるようにしています。ルミナス・エンジンとしては、できるだけ幅広い通信環境でも開発できるよう、データの圧縮や更新数の削減、読み込みの高速化など行うことで問題の対処をしていました。ただ、それだけでは快適に開発を進める上で解決しきれない状況はあります。

―早急なリモート化が求められる中で、ルミナス・エンジン開発チームにとって一番大変だったことはなんでしたか?

小野氏:大規模開発だと1日で数百GBを超える更新が入ることがあり、通信環境が良くないとデータを同期するだけで数時間かかり、作業に支障が出てしまいますので、ローカルのPCで開発することには限界を感じていました。

―実際にOmniverseを導入しようとなった際、小野さんと李さんはどのような役割分担で作業にあたられたのでしょうか?

小野氏:自分はルミナス・エンジンとOmniverseの通信処理の実装を担当しました。ルミナス・エンジンで作ったゲームシーン内のモデル、ライト、カメラの配置情報やパラメータなどをUSDのフォーマットでNucleusに出力して同期しています。Omniverseを動かすサーバーの構築も担当していました。

ono_01.jpg

李氏:ルミナス・エンジン側のアセットは独自フォーマットなので、RTX Rendererで描画できるようにするためには、USDMDLのフォーマットにコンバートする必要がありました。また、DCCツールでUSDMDLを編集して、ルミナス・エンジンとRTX Renderer両方に反映させることもしたかったので、逆方向のコンバートも必要になります。私は、そのコンバートの部分、モデルのUSD形式対応とマテリアルのMDL形式対応を担当させていただきました。


Lee_01.jpg


―それぞれ様々な苦労があったかと思いますが、いかがでしたか?

小野氏Omniverseは多機能なので、どうやってルミナス・エンジンに組み込んでどのようなリモート環境を作るかといった設計に苦労しました。また、用意するサーバーの構成やスペックも繰り返し検討したところです。当然ながら、Omniverseがプラットフォームとして目指す方向性と、ルミナス・エンジンの目指す方向性は全てが合致しているわけではないため、Omniverseをゲーム開発現場で実践的に利用しようとすると、各所で擦り合わせが必要になってきます。そうした中で、USDMDLのコンバート対応といったルミナス・エンジン側の挑戦をしつつ、NVIDIAさんと何度も議論を重ねながら検証を進めてこられたので、結果的にはOmniverseの効率的な使い方ができたと思います。

―NVIDIAさんとは、どういった体制で連携されたのでしょうか?

小野氏:まずNVIDIAさんにOmniverseの詳細説明をいただき、それを受けてOmniverseの検証と利用方法の検討をしました。そこから毎週リモートで定例を行い、チャットツールでも小まめにやり取りさせていただくことで、おすすめのサーバー構成や実装方法を教えていただきました。USDは利用の知見がありましたが、MDLは初めて利用するフォーマットだったのでとても助かりました。

―李さんはお一人でコンバート部分を対応されたとのことですが、いかがでしたか?

李氏MDL対応時、手作りのマテリアルはノートパッド等のテキストエディターでソースコードを書いていましたが、ソースコードを正しく書けたかどうかは、MDLSDKimportして、parseしてみないと分からないため、最初は試行錯誤の繰り返しで、かなり苦労しました。幸い、書けば書くほどどんどん把握できていったのと、今回の対応に必要なマテリアルの数があまり多くなかったので、着実に実装していけたと思います。

―導入事例の多くない中で、非常に挑戦的な作業だったかと思います。李さんもNVIDIAさんとは密に連携しながらの作業だったのでしょうか?

李氏:最初はOmniverseの公式ドキュメントを参照しながら実装していきましたが、やはりそれだけでは足りない細かな問題も出てくるので、NVIDIAさんと頻繁にやりとりしながら進めていきました。基本的には全てブライアンさんに相談しましたが、それでも解決できない時は、その専門の担当者を紹介していただき、1つ1つ解決していった感じですね。

―Omniverseをより実践的に利用していくためには、ゲーム全体のデータをサーバー上で全て管理する環境構築が必要であるといったお話があったかと思いますが、それはそう遠くないうちに実現可能そうでしょうか?

小野氏Omniverseでゲーム全体のデータを扱うにはまだまだ課題があります。NucleusTB単位のデータを載せる検証をしましたが、期待するパフォーマンスが十分出ませんでしたし、Driveという仕組みを使えばファイルI/Oがそのまま使えますが、そこもまだ安定しないので、大規模ゲーム開発をOmniverseで行うのであれば、このあたりが改善されるか、ルミナス・エンジン側の仕組みに手を入れるかしかないかなと思います。とはいえ、今回Omniverseを検証することでデータ管理の知見を得られたので、今後も幅広く実現方法を模索していきたいと思っています。

―CEDEC2021では講演後に「Ask the Speaker」という受講者とのより深いQ&Aタイムがありましたが、そこではどのような話をされたのでしょうか?やはり皆さんリモート開発には苦労されている様子はありましたか?

李氏:私たちと同じように、実際にMDLへのコンバーターを作成されている方から実装方法についてご質問いただきました。コンバートの手法も似たような手段を取っていたり、描画エンジンが違って絵を合わせるのが難しかったり、といった、まさに私たちが直面したのと同じ課題に悩まれていたので、今回の事例紹介が参考になったとのことで良かったです。



Luminous Productions公式YouTubeチャンネル




―年々進化を遂げていくルミナス・エンジンですが、ぜひ今後の展望を教えてください

小野氏:今まさに、オープンワールドゲームの大規模開発をルミナス・エンジンで進めています。美しいグラフィックスは当然ながら、高速データロードやワールドエディタ―機能など、オープンワールドの開発に適した機能の強化に力を注いでいますので、その成果は近いうちに皆さんにお見せできるかと思います。ぜひ楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。

―最後に、講演の視聴者や当インタビューをご覧になっている方に伝えたいことはありますか?

李氏:ゲーム業界でもソフトウェア業界のように、リモート開発の場面がますます増えていくと思いますので、リモート開発にフレンドリーな環境を整えるべきだと考えています。ルミナス・エンジンで挑戦していることが、少しでも多くの方の役に立てばと思いますので、興味のある方は是非、CEDECの公式YouTubeチャンネルで配信している講演のアーカイブ動画をご覧ください。CEDECの受講パスがなくても視聴できますし、当ページでは講演資料も配布していますので、併せて見ていただければと思います。

小野氏: ルミナス・エンジンは今後も進化を続けていきますので、もし一緒にやりたい方がいましたら、是非採用ページ(CAREERへのリンク)からご応募ください。また、今回の取り組みのように、他社さんと協業することは多くの挑戦をする上で非常に重要だと思いますので、良い機会がありましたら是非お声がけいただけると嬉しいです。





講演資料(pdf)のダウンロードはこちら



Luminous Productions公式SNSはこちら
Facebook
Instagram
Twitter

Facebook Share Twiiter Share Linkedin Share Reddit Share Tumblr Share
NEWS一覧はこちら